第39章

鈴野晴美はまだ迷っていた。だが沈村遥にそう言われた瞬間、気のせいか、それとも本当に――どこかで「何か」が鳴いたような気がした。

「……じゃあ、早く戻ろう……」

背中に冷たい汗が滲む。

沈村遥は石の上から立ち上がった。手で仰いではいたものの、蚊に刺されて赤い膨らみがいくつもできている。

「ここにいても、できることないし」

自分でも完璧だと思える言い訳を用意して、沈村遥は続けた。

「それより戻って、吉弘さんの夕飯作っといたほうがいいよ。苦労して帰ってきたら、すぐ食べられるようにさ」

鈴野晴美はこくりとうなずき、二人でその場を離れた。

一方、安田歌子チームは作業を終えて庭に戻ると、...

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