第43章

沈村遥に安田歌子へ礼を言えって? それは沈村遥の面子を丸つぶれにするのと同じじゃない。

安田歌子のほうが自分より上だと認めろって?

そんなの、沈村遥にできるはずがない!

安田歌子なんて田舎育ちの野良娘だ。農家の知恵をちょっと知ってるだけ。それなのに、このお嬢様である自分が、どうしてわざわざ頭を下げて礼を言わなきゃいけないの?

沈村遥にとって、安田歌子が自分と吉弘さんの役に立てたのは、安田歌子のほうの「ありがたい巡り合わせ」でしかない。

「どうした、礼を言いたくないのか?」

古崎拓人が、沈村遥と陸原吉弘へゆっくり歩み寄る。190cmを優に超える長身に、鍛え上げられた体。冷ややかで隙...

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