第64章

安田歌子は首をかしげながら箱を取り出した。

「これ……?」

古崎拓人がこくりとうなずく。

「開けてみて」

安田歌子がふたを開けると、中には草で編まれたブレスレットが入っていた。

「さっき市を回ってたときに見つけたんだ。露店の人が、干した麦わらを手で編んだって言っててさ。ここの名物らしい」

そう言いながら、古崎拓人はどこか落ち着かない。喉が小さく鳴る。

「記念になると思って……君に、渡したくて」

安田歌子の頭の中が、いま沈村家の件でいっぱいなのはわかっている。余計なことを考えさせたくないし、受け取ってもらえなかったら――その可能性が怖かった。

「……農場体験の締めくくり、って...

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