第72章

沈村深は考えれば考えるほど、腹の虫が収まらなかった。

「身内のくせに、あんなえげつないことして! 情ってものが欠片もないの?!」

沈村川人は普段なら冷静だ。だが今回はさすがに妹に腹を立てていた。

「今それを言ってる場合じゃない。早く火消しの手を打て。これ以上叩かれたら、沈村家の評判に響く」

沈村深は慌てて対応に走った。

一方そのころ、安田歌子はすでにオフィスの場所を決めていた。A市中心部の一等地、華やかなオフィスビルを二フロア丸ごと借り上げる。

ニナウタ株式会社――正式始動。

温水仁菜は、もう待ちきれないとばかりに身を乗り出した。

「歌子、今すぐ求人出して人集めよう!」

「...

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