第77章

安田歌子は録音を最初から最後まで通して聞き、首を横に振った。

「焦っちゃダメ」

「この音声で証明できるのは、佐藤沢が最低のクズだってことだけ。あなたの過去まで帳消しにはできない」

「いま私たちがやるべきなのは、あなたに貼りついた汚名を落として、あの時の出来事を「真実」としてもう一度世に出すこと」

「この音声は、出すべきタイミングで出す」

夏目天は小さくうなずいた。

安田歌子のことは信じている。

佐藤沢の車を見ただけで、彼女のポケットに録音機を忍ばせる発想に至るなんて……安田歌子の手際は、夏目天の想像をはるかに超えていた。

契約の件を片づけると、安田歌子はすぐに再始動の段取りに...

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