第83章

沈村深は、雇った連中が第一波を完璧にやり遂げたのを画面越しに見届けた。胸のつかえは下りた。だが、腹の底に残ったのは、どうにも拭えないざわつきだった。

――安田歌子が、何も用意していないはずがない。

あの妹の手口は、もう嫌というほど味わっている。ここで気を抜いたら終わりだ。

沈村深はソファにもたれ、疲れた指で眉間を揉んだ。

佐藤沢の映画に、貯金の大半を突っ込んだ。なのに企画は潰れ、金も戻らない……。

考えるだけで胃がきりきりする。

「深お兄さん」

沈村遥がフルーツサラダの皿を手に、軽くノックして入ってきた。

「最近、ちゃんと休めてないでしょ」

沈村深は顔を上げる。目の下の隈が...

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