第86章

最初に沈村父へ沈村遥を養子に迎えるよう勧めた占い師――その名は明哲だった。

秘書は小さくうなずく。

「承知しました、沈村グループ。すぐ手配いたします」

沈村父はソファにもたれ、目の奥まで疲れきった色を滲ませていた。

一方その頃、安田歌子は会社の面々とささやかな祝勝会を開き、解散してそれぞれ帰路につくところだった。

「待って!」温水仁菜は今日はだいぶ酒が入っている。「ちょっとお手洗い行ってくる。先、帰ってて」

岩崎博夫はちょうど夏目天と同じ方向らしく、送っていくと申し出た。

松谷康人と葉山凛はそれぞれ自宅へ。

安田歌子は温水仁菜に付き添い、トイレへ向かう。

「なに」温水仁菜は...

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