第9章

監督も困り顔で言った。「本当に申し訳ないんですが、替えの靴は用意してなくて……」

沈村遥は沈村景の腕をきゅっと引き、気丈に振る舞いながら口を開く。「大丈夫だよ、お兄ちゃん。歩けるから。監督さんたちを困らせないで」

「私が悪いの。ルールをちゃんと把握してなくて、うっかりヒールで来ちゃって……みんなの足を引っ張っちゃった」

その様子を見ていた陸原吉弘が、思わず沈村遥をかばう。

「女の子がおしゃれしたいのは普通だよ。ゆっくり歩けばいい。そんなに自分を責めなくていいって」

「ありがとう、吉弘さん。優しいんだね」

沈村遥はそのままヒールで歩き続けたが、進むほどに体力が削られていく。額には汗...

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