第90章

安田歌子は自分から、その映画の監督に連絡を入れた。

「永田監督、安田歌子です」

相手は名前を聞いた途端、声色を明るくする。

「安田さん! 脚本、もう読んでくれたんですか?」

「ええ」

安田歌子は淡々と言った。

「とても面白かったです」

永田監督はもともと安田歌子を高く評価していて、ぜひ一度組みたいと思っていた。

「実はですね。脚本では当初、ヒロインは沈村遥の予定だったんですが……今、ネットの評判の件があるでしょう。続けて起用するかどうか、こちらでも検討していて。安田さんがヒロイン役を気に入ってくれるなら、すぐ契約に進めます」

「私が欲しいのは、二番手の役です」

安田歌子は...

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