第98章

温水仁菜は慌てて言われたとおりに動いた。

その石板は、安田歌子の養父が彼女に遺したものだった。養父は「大切に保管しろ」とだけ言い、結局それが何なのかは一度も教えなかった。

安田歌子が死んで異世界へ渡り、占星術と呪術を学び、そして戻ってきて――ようやく石板の用途を理解した。

呪いに用いるルーンの石板。力を呼び寄せ、能力を大きく底上げするための媒介。

幼い頃から、歌子は養父をどこか得体の知れない人だと感じていた。外へ働きに出ることはほとんどなく、たいてい家の中でひとりきり。何をしているのか、さっぱり分からない。

養父が不慮の死を遂げても、結局彼女は何ひとつ掴めないままだった。

けれど...

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