第255話ブルースの恐怖

「すまない、怖がらせてしまったか?」ブルースは尋ねた。

答えは分かっていたが、それでも訊かずにはいられなかった。結果を恐れてもいた。あのコンパートメントを開けてしまったことを、彼はその瞬間、後悔した。だが、今さらどうしようもなかった。

「説明させてくれ、ローレン。頼むから聞いてほしい」そう言いながら、彼はローレンの方へじりじりとにじり寄ろうとした。

「来ないで」ローレンは身を引き、防御的な姿勢をとった。相手がどんな人間か分からない以上、安全な距離を保つべきだと判断したのだ。

彼女が突然よそよそしくなったのを見て、ブルースの目に一瞬、苦痛の色がよぎった。何が変わってしまったのか、彼には見当もつか...

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