第238章 彼の高嶺の花

「山田真里さんと北村社長はね、大学の同級生だったのよ」

「当時、北村社長が山田真里さんのことを好きだってことは全校生徒の周知の事実だったわ。自分の気持ちを伝えるために、社長は百通近いラブレターを送ったんだから」

「佐藤愛、あんたはこの先一生かかっても、社長の中にある山田真里さんの地位には届かない。不倫相手の分際で、さっさと北村社長の世界から消えなさいよ」

 葉田静香のその憎たらしい顔を見て、佐藤愛の堪忍袋の緒が切れた。

 彼女は足元に落ちていた手頃な小石を拾い上げると、静香の頭めがけて思い切り投げつけた。かつて北陸で暮らし、日常的に狩猟に親しんでいた佐藤愛は、こういう時のコントロール...

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