第267章 彼を完全に手玉に取る

 北村辰からのメッセージを受け取った佐藤愛は、喜びのあまり居ても立ってもいられなくなった。鞄に教科書を詰め込むのもそこそこに、彼女は慌ただしく校門へと駆け出した。

 校門に辿り着くと、高級車のドアに背を預け、優雅に紫煙をくゆらせている辰の姿が目に飛び込んできた。彼は愛が来る方向を、今か今かと見つめている。

 愛の姿を認めると、彼は吸っていた煙草を揉み消し、両手を広げて彼女を迎え入れた。

 数日ぶりの再会。愛も辰も、身を切られるような思慕の情に耐えていたのだ。

 愛がその胸に飛び込んだ瞬間、辰は太い腕で彼女を力強く抱き締め、自身の懐深くに閉じ込めた。

 愛の瞳から微かに涙が滲む。耳元...

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