第287章 まさに我が息子

 北村辰は、視界の端に彼女を捉えることすら拒むように、冷然と無視して通り過ぎた。

 山田真里は懲りずに、北村辰に声をかける。

「辰、喉渇いてない? お茶でも淹れましょうか?」

 北村辰は茶を好む。それゆえ、北村家には常に上質な茶葉が常備されていた。

 だが、山田真里の媚びるような献身に対し、辰は眉一つ動かさない。彼女の存在そのものを鬱陶しく感じているのが、ありありと見て取れた。

 彼は顔だけを振り返り、山田真里に冷たく言い放つ。

「退け。お前の顔など見たくない」

 氷のような拒絶を受け、山田真里は凍り付いたようにその場に立ち尽くす。その瞳には、今にも溢れ出しそうな悔し涙が揺れて...

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