第296章 彼女はただの部外者

 常に冷静沈着であることを自負していた中村純子だが、息子の北村星が同性愛者だという事実を突きつけられ、完全に心が折れてしまった。彼女は震える手にしたティーカップを、床へと激しく叩きつけた。

 ガシャーンッ!

 陶器の砕ける鋭い音が響く。

 その様子を見ていた山田真里は、純子がてっきり北村辰と佐藤愛の一件で苛立っているのだと勘違いした。

 これは好機だ──そう踏んだ真里は、扇動するような口調で純子の機嫌を取りにかかる。

「中村さん、そんなに怒らないでくださいよ。お医者様も言っていたじゃないですか、短気は損気、お体に触りますって」

「……今日のことは、私にもどうしようもなかったのよ。...

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