第298章 プライドも何もないわけ?

ジャージ姿の娘の突飛な行動に、その場にいた誰もが肝を冷やした。

立ち去ろうとしていた佐藤愛と鈴木ククも、思わず足を止める。一体この娘は何者なのか。なぜ、山田真里の顔面に水をぶちまけたのか。

楠山も驚きを隠せない様子で、事の成り行きを傍観している。一方、脚本家の女性は、まるで汚いものでも見るかのように数歩後ずさりした。とばっちりで水がかかるのを恐れたのだろう。

「夏川伊智、あんた正気!? 何すんのよ!」

顔をぬぐった山田真里が、濡れ鼠のような姿で叫ぶ。精巧なメイクが崩れ、見るも無惨な有様だ。ようやく相手の正体に気づいたらしい。

夏川伊智はバッグを背負い、腕を組んで鼻を鳴らした。

「...

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