第373章 意外と義理堅い

 川原裕子は声も出せず、身じろぎひとつできなかった。

 その時だった。一人の店員が歩み出て、北村星の行く手を遮ったのは。

「あの……お客様、お会計をお願いします」

 北村星は振り返り、鋭い眼光で店員を射抜く。

 店員は慌てて口を開いた。

「お客様、申し訳ございません。オーナーからは、こちらの女性三名様の飲食代は無料にするよう承っております」

「ですが、ホストの指名料に関しましては、オーナーの権限でも処理できない別会計となっておりまして……経理上、どうしても外部との精算が必要なのです」

 そこでようやく、北村星は事態を飲み込んだ。

 北村蕭がわざわざ店員を寄越したのは、ホスト代...

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