第380章 代償を払う

北村辰は手を差し出すと、梨本雲の手を取り、そのまま自身の掌の中で強く握り込んだ。

その唐突な行動に、梨本雲は得体の知れない緊張を覚える。

「北村社長……あの……」

北村辰の掌に力が込められる。骨が軋むほどの痛みが梨本雲の手を襲った。

だが、年長者たちの手前、痛みを顔に出すわけにはいかない。彼女は下唇を噛みしめ、万力のような握力に必死に耐えた。

北村辰は二人だけに届く声量で、低く囁いた。

「佐藤愛が無事であることを祈るんですよ。さもなくば、僕はあなたに――そして梨本家全員に、相応の代償を支払わせますから」

言い捨てると、北村辰は梨本雲の手を放し、踵を返した。

彼が放つ氷のような...

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