第395章 誰も浮気してはいけない

 北村辰のそのふざけた発言を聞いて、佐藤愛は彼を馬から蹴落としてやりたい衝動に駆られた。

 だが残念なことに、それはあくまで願望に過ぎない。

 しかし、北村辰は即座に行動に移した。佐藤愛の手から手綱を奪い取ると、その細い腰を片手で掴み、力を込めて軽々と抱き上げたのだ。

 馬上で体が宙に浮く浮遊感に、佐藤愛が悲鳴を上げようとした瞬間、彼女はすでに北村辰の腕の中にすっぽりと収まっていた。

 間髪入れず、北村辰の濃厚な口づけが降り注ぐ。

 佐藤愛は頭がくらくらとして、意識が遠のくのを感じた。

 彼とキスをするのは初めてではない。だが、揺れる馬の上での接吻は、間違いなく初めての経験だ。

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