105.松岡さんは本当に大丈夫ですか

松岡友希はそう言い残すと、くるりと身を翻してキッチンへ戻った。

ほどなくして、まな板を叩く小気味いい音が聞こえてくる。石原絵梨花は反論しかけた言葉を、黙って飲み込んだ。

……まあ、いいか。

一度きりの満腹と、毎日の満腹。どっちが大事かくらい、さすがに分かる。

そう思っても、胸の奥に小さなむくれは残った。

そのむくれが消えたのは、松岡友希が簡単な二品とスープを運んできて、香りがふわりと鼻先をくすぐった時だ。石原絵梨花の表情はようやくほどけ、行儀よく座って、ご飯が出てくるのを待った。温めてもらった牛乳まで、素直に飲み干す。

けれど松岡友希は箸を取らなかった。向かいに座り、ただ石原絵梨...

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