110.私は貧しくない

高木政宗は聞くだけは聞いたものの、天級の伽羅なんて、そもそも金を積めば買える代物じゃない。希少すぎて「ある」と言われてもにわかには信じられない。まして石原絵梨花が、本当に手配できると言い出すなんて思ってもみなかった。

「……マジかよ!」

高木政宗はその場でテンションが跳ね上がり、石原絵梨花にずいっと詰め寄ろうとする。

「お隣さん、ほんとに鈴木源一郎と知り合いなのか!? どんな奴? 今どこにいる? なんでこの一年、天級の伽羅を作ってねぇんだよ!」

一歩踏み出した瞬間、高木政宗は松岡友希の、ひやりと冷えた視線と真正面からぶつかった。

足がぴたりと止まる。

「……あ、あはは」

乾いた...

ログインして続きを読む