113.とても心配だ

その声が不意に廊下へ落ちた瞬間、手術室の前で待っていた数人は、そろって動きを止めた。

石原絵梨花も肩先がわずかに揺れ、はっとして振り返る。

廊下の向こう端に、松岡友希が立っていた。相当急いで来たのだろう。髪も服もどこか埃っぽく、息が上がっている。いつもの落ち着きや余裕は、影も形もない。

その姿を見た途端、絵梨花の頭が一瞬真っ白になり――ようやく思い出した。

連絡していない。

松岡友希に、何も言っていない。

隣で村上佳奈が「え」と小さく声を漏らし、安田莉子の袖を引いた。

「莉子、私の見間違い? あの人、なんか見覚えあるんだけど」

安田莉子の目がきらりと光る。

「見間違いじゃな...

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