012.寮に住んでいます

石原絵梨花が三高を出たところで、向かいの歩道をこちらへ歩いてくる男がいた。

金髪。背が高く、細身。穴の空いたデニムジャケットを肩に引っかけ、歩き方までどこか不良っぽい。

白崎誠也――。

ただし、二人はこれまで一度も顔を合わせたことがない。

すれ違った、その瞬間。

絵梨花のリュックの中でスマホが数回、震えた。

ブブブ……。

絵梨花は眉をひそめ、苛立ったまま歩みを止めない。取り出す気もない。

一方で、通り過ぎた白崎誠也のほうが、ほんのわずかに動きを止め――次の瞬間、勢いよく足を止めた。

だが、音はもう消えている。

誠也はすぐさま振り返ったが、見えたのは、細い背中をまっすぐに伸...

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