129.負傷

その頃の石原絵梨花は、食堂で昼食の様子を眺めていた。

規模こそ小さいが、大会の主催側はビュッフェ形式を採用している。料理は十数種類。肉と野菜のバランスもよく、ぱっと見ただけでも食欲をそそる。横にはデザートとフルーツ、飲み物は別の台にまとめられていた。

必要なのは、主催が配る食券だけ。

とはいえ、まだ少し早い時間だ。食器を並べていたスタッフが、肉料理の前から離れない絵梨花に気づき、親切に声をかける。

「参加者の方ですよね。食券の配布はあと十五分です。今は見学だけでお願いします」

「……」

期待値が上がっていくのは、どういう理屈だ。

絵梨花はゆっくり「うん」とだけ返し、名残惜しそう...

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