196.君は少し見覚えがある気がする

石原絵梨花はあの火鍋屋を出ると、ちらりと振り返った。けれど戻りはしない。早山恵也の意図を汲んで、そのまま立ち去った。

早山恵也と知り合って、もう五年になる。会う機会は多くなくても、彼の気質くらいは嫌というほど分かっていた。

一年前の「秘密の刑務所」の件を、あのタイミングで急に持ち出してきた時点で確信したのだ。早山恵也は何かの違和感に気づいている。しかも、それを石原絵梨花に知られたくない。

言いたくないなら、別にいい。

誰にだって、隠しておきたいことはある。

石原絵梨花は心の中でそう結論づけた。要はひとつ。早山恵也が隠していることが、自分にとって不利益にならないと分かれば、それでいい...

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