197.安城を観光する

「ん?」

石原絵梨花は、富山由紀がノートPCも出さずに手を伸ばしてきたのを見て、何か用事でもあるのかと察した。

声を掛けられ、絵梨花は画面から視線を外して富山を見やる。瞳に、わずかな疑念。

癖?

絵梨花は数秒だけ考え、どうでもよさそうに言った。

「偶然でしょ」

「だよね。まさか……あの宮城晃の詞と曲、あんたが書いて渡したとかじゃないよね?」

冗談めかした富山の言い方に、絵梨花の口元がひくりと引きつる。

「フラグ立てる前に、脳みそ通してから喋りなよ」

「え? なんで?」

「経験上、あんたが口にしたことって、だいたい現実になるから」

絵梨花が呆れた声で言うと、富山は世紀ホテ...

ログインして続きを読む