200.トップアイドル、引退説

石原絵梨花は富山由紀のすぐそばにいた。だから、彼女が漏らした言葉がかすかに耳へ届く。

絵梨花は目を細め、遠くのステージを見上げた。

その瞬間――スポットライトが一つ、舞台のど真ん中を白く貫いた。

会場中の熱に浮かされた視線が一点へ吸い寄せられる中、銀色のスーツを纏った若い男が、ゆっくりとせり上がってくる。次第に輪郭がはっきりし、観客の視界に収まった。

澄んだ声が、遅れて響く。

宮城晃。

距離があるせいで顔までは判然としない。けれど絵梨花は、以前写真で見ていた。知らない相手ではない。

生で聴く歌声は、想像以上に整っていた。

そして――聴けば聴くほど、石原絵梨花の表情は読めなくな...

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