205.どこかで見たことがあるようだ

石原絵梨花は「うん」とだけ返すと、ソファの背にもたれ、両腕を胸の前で組んだ。

「正直に話してくれたのは、私に対して十分に礼を尽くしてる。私は気にしないし、あなたの名前を借りる必要もない」

そう言ってから、石原絵梨花は話題を切り替えた。

「今日来たのは、別件」

青木裕太の肩がびくりと跳ねる。

石原絵梨花の表情に嘘は見えない。本当に宮城晃に興味がないのだと分かり、胸の奥の力が少し抜けた。

宮城晃が口にする「大物」について、青木裕太はこれまで慎重だった。いちばん怖いのは、相手が宮城晃の芸能界での立場を欲しがり、利用して私腹を肥やし、せっかく積み上げた人気と人望を台無しにすることだ。

...

ログインして続きを読む