032.試合エントリー

石原七緒は、二人の女子が腹を立ててまくし立てるのを、黙って聞いていた。

一言も挟まない。

石原絵梨花が去っていった方角を見つめる瞳に、ふっとかすかな光が走る。

ほどなくして、次の授業の始まりを告げるチャイムが鳴り、石原七緒と女子二人はその場を離れた。

だが、彼女たちがいなくなった直後――。

すぐ隣の個室から、二人の男子が出てくる。

白崎誠也と岩本旭だった。

岩本旭はどこか居心地が悪そうな顔をしている。七緒たちはもう遠ざかったはずなのに、声だけがまだ、廊下の奥へ薄く引きずられていくように聞こえた。

自分ですら聞こえるのなら、耳のいい白崎誠也にはなおさらだろう。

岩本旭は言い回...

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