033.彼女が私に見せた

石原絵梨花は画面に「いいえ」と素早く打ち込んだ。だが、そのメッセージを見た瞬間、ふっと黙り込み、入力欄の文字を全部消した。

木村爺さんが、あんなに嬉しそうにするのは滅多にない。

たかがピアノコンクール一つで……。

安田莉子たちは、石原絵梨花の表情が演技じゃないと分かって、「えっ」と声を漏らした。

「……ほんとに申し込んでないの?」

「じゃあ誰が絵梨花の名前で出したの? 美化委員とか?」

「ないない。あの子、そういうことするタイプじゃないし。もし絵梨花の分を出すなら、絶対に本人に一言聞くって」

福原優奈の言葉に、安田莉子と村上佳奈も頷いた。

福原優奈がぱっと顔を上げる。

「…...

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