038.後継者

それを聞くなり、松岡友希はすぐ高木政宗へ視線を向け、わずかに眉を寄せた。

高木政宗は肩をすくめ、困惑を隠さない顔で言う。

「俺、てっきり木村爺さんが今回陽城に来たのは、松岡様に早く西京市へ戻ってもらって、研究院の件を手伝ってもらうためだと思ってました。でも木村爺さん、松岡様に自分から会いに来ないし、面会も断るし……それでいて帰るときも何も言わずにいなくなるって、どういうことです?」

高木政宗は頭をひねっても答えが出なかった。

松岡友希は休憩室のほうをちらりと見やる。表情は読めない。

高木政宗は、石原絵梨花に聞かれるのを気にしているのだと思い、声を落とした。

「松岡様、ご安心くださ...

ログインして続きを読む