040.300万のピアノ

声がした瞬間、安田莉子たち三人はそろって振り向いた。

入口に立っていたのは白崎誠也。両手をズボンのポケットに突っ込んだまま、淡々とした顔で入ってくる。

その隣には石原七緒がいた。制服ではなくワンピース姿で、つやのある長い髪が背中に流れている。思わず目を奪われるほど綺麗だった。

七緒は、白崎誠也に冗談めかして文句を言っている岩本旭に、やわらかな声で説明している。言い方があまりに丁寧で、責める気が失せるタイプだ。

岩本旭は七緒を一度見て、何か言いかけて――飲み込んだ。

それから白崎誠也を外に呼び出して話そうとした、そのとき。

視界の端に、ピアノ室の中で呆然とこちらを見ている安田莉子た...

ログインして続きを読む