056.遅かったみたい……

渡部岳人はこの時、スマホを握り潰す勢いで力を込めていた。校長からの返信がいつまで経っても来ないせいで、今にもこちらから電話をかけようとしていたくらいだ。

――その矢先。

鈴木の「全問正解」という一言が不意打ちのように耳へ飛び込み、渡部は数秒、固まった。頭が追いつかない。

ぜ、全問……?

聞き間違いじゃないのか。

数学チームのリーダーが真っ先に反応した。半歩踏み出し、信じられないという顔で問い詰める。

「全問正解? 本当に、全問正解なのか」

鈴木は奥歯を噛みしめた。自分だってリーダー以上に信じがたい。だが、この場で認めないわけにはいかない。嘘をついたところで、リーダーにはすぐ見抜...

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