058.本当に戻ってきたんだな

石原絵梨花はゆっくりと体勢を変え、組んでいた脚をほどく。長い脚をすっと伸ばして背もたれに預け、両手を胸の前で重ねたまま、ただ鈴木を見上げた。

ここまで来れば、鈴木がどれだけ認めたくなくても、目の前の現実からは逃げられない。

石原絵梨花――ずっと「後ろ盾のない、どこにでもいる普通の生徒」だと思っていた相手が、校長と顔見知りどころか、校長が異様なほど丁寧に接している。あと一歩で後ろをついて回って気遣いでもしそうな勢いだった。

それが何を意味するか。

石原絵梨花には後ろ盾がある。それも、洒落にならないほどの。

そう思った瞬間、鈴木の背中に冷たい汗がにじんだ。

――自分は、その相手を敵に...

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