066.ピアノコンクール

「おうよ!」

高木政宗はにこにこと返し、松岡友希に向かってわざとらしく目配せをした。

松岡友希は表情ひとつ変えず、石原絵梨花のグラスに牛乳を注ぐ。落ち着き払った手つきだった。

寮生は休暇中も希望すれば寮に残れる。石原絵梨花は食事を終えると、そのまま寮へ戻っていった。

彼女が出ていったあと、ずっと黙っていた松岡大介がふいに口を開く。

「松岡様……陽城に、いらっしゃるのが長すぎます」

松岡友希は松岡大介を見もしないまま立ち上がり、黙々とテーブルを片づけ始めた。

だが松岡大介が松岡様にそんなことをさせるはずがない。慌てて駆け寄る。

「松岡様、どうぞお座りください。私がやります」

...

ログインして続きを読む