094.君には無理だ

午後になると、石原絵梨花が算数オリンピックに出るらしい――そんな噂が、あっという間に校内を駆け巡った。

当の絵梨花はというと、特進クラス担任のオフィスで、先生たちにがっちり見張られたまま、その場で申込書を書き上げて置いてきたのだ。

もう取り返しようがないと確定したあたりで、安田莉子たち三人は、だんだん感覚が麻痺していき、ついには絶望して何も言えなくなった。

疲れた。心底、疲れた。

見物に来た他クラスの連中でさえ「算数オリンピックは無理ゲー」だと知っているのに、当の絵梨花だけが分かっていない。

放課後。

安田莉子は九十回目くらいのため息を吐いてから、言った。

「絵梨花、西川先生の...

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