099.私と……木村のじいさんがいるから

その言葉が落ちた瞬間、場の空気がすっと冷え、沈黙が降りた。

福原祐衣は不意を突かれたように固まり、言葉を失う。

病室から出てきた高木政宗が堪えきれず、「ぷっ」と吹き出した。その笑い声だけが、この静けさの中でやけに鮮明だった。

福原祐衣は我に返ったが、顔色がさっと青白くなり、手足の置き場に困ったように視線を泳がせる。恥ずかしさが滲んでいた。

阿部達也はこの瞬間、福原祐衣を置き去りにして松岡友希に「俺はこいつを知らない」と必死に弁解したくてたまらなかった。

だが、今回は同じ出張組だ。福原祐衣が何かしでかせば、巻き添えを食うのは自分だ。上からの評価も落ちる。

結局、阿部達也は腹を括って...

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