第7章

 一年後、ヒルトン東京。

 アジア太平洋技術革新サミットのメイン会場は、煌びやかな照明に包まれ、各大手企業の代表者やメディア関係者で埋め尽くされていた。

 これは日本ビジネス界における年に一度の一大イベントであり、各企業が幹部を派遣し、最新の技術成果や経営戦略を披露する場である。

 私は舞台裏で、深呼吸をして気持ちを整える。

 一年前、私は愛のために真実を隠した「松本真菜」だった。だが今日、私は「中村グループ」の副社長として、ビジネス界の表舞台に立つ。

「緊張してる?」

 紗織が隣に立ち、小声で尋ねてきた。

「少しね」

 私は正直に答え、ダークブルーのオーダーメイドスーツの襟...

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