第6章

真希視点

「横になってなきゃだめよ」

潤が二十分おきに繰り返す台詞だ。

「一晩中横になってたじゃない」私はギャラリーの床の上、包帯を巻いた腕をかばいながら身じろぎする。「それに、腕よ。脚じゃないわ」

隣にどさりと座り込み、潤はため息をついた。あたり一面に散らばっているのは、スケッチ――色の見本、レイアウト案、私たち二人の筆跡で書かれたメモ。

「展示会、許可は下りたんだ」と彼が言う。「もう七日目は必要ない。君は休むべきだ」

「コンセプト説明がまだでしょ」これだけは譲れない。「あれは二人で書くものだから」

潤が私を見る。その眼差しには苛立ちと、それから、もっと柔らかな何かが混...

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