第118章

『面目が立たない?』

林原澄子は鼻で笑い、彼を一瞥すらしなかった。指先で湯呑みの縁をなぞりながら、顔色はどす黒く沈む。

『書類を偽造して、会社の金に手をつけて、データまで意図的に改ざんした。あと一歩で、グループの数百億規模の案件が丸ごと吹き飛ぶところだったのよ。世間に恥を晒したその時、林原家の体面は考えなかったの?』

『建人……あなたの『いい娘』には、ほんと驚かされたわ』

林原建人は言葉に詰まり、顔を鉄青にする。唇をもごもご動かした末、苦し紛れに言い返した。

『あ……あれは、ちょっと魔が差しただけだ』

『ぱんっ!』

林原澄子は堪えきれず、湯呑みをどん、と卓に叩きつけた。温い茶が...

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