第123章

夕暮れどき。吉崎直子は羽島浩介の車に乗り、羽島家の旧邸へ向かっていた。

道中、浩介はハンドルを握ったまま、昨夜捕まえた連中の取り調べ結果をかいつまんで話す。

「連中は口を揃えて、林原寧月が仲介を通して雇ったって言ってる」

浩介はときおりルームミラーに視線を走らせ、慣れた手つきで車線を変えた。

「ただ、証拠は出せない。やり取りは全部現金で、仲介役ももうトンズラだ」

その言葉に、直子の瞳がわずかに翳る。けれど、余計なことは口にしなかった。

「林原建人の動きは早い。今朝一番で、寧月を国外に出した」

直子は唇の端を薄く吊り上げる。嘲りだけが浮かび、声には温度がない。

「尻尾切りね」

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