第131章

それから彼は一拍置き、もう一度口を開いた。

『ボス。あんた運転うまいのは知ってる。頼む、マジで……一走、代わりに走ってくれ!』

『来てくれりゃ条件は好きにしていい!』

吉崎直子はそれを聞くと唇をきゅっと結び、

『場所、送って。今から行く』

電話口の平村俊はその一言で弾けるように喜び、慌てて通話を切った。

真っ黒になった画面を見つめ、直子はもう一度唇を引き結ぶ。車のキーを掴むと、そのまま外へ出た。

……

三十分後。

控えめな黒のSUVが、西区エクスプレス・サーキットのゲート前に滑り込んだ。

もともとは廃れた工業団地だった場所を、平村俊が丸ごと押さえて、私設の地下レース場に作...

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