第137章

諸々の後始末を終えると、吉崎直子は会議室へ入った。

ノートPCを社内ネットワークに繋ぎ、さっきまでの一連を反芻する。あの短い攻防だけでも分かる。相手の腕は一級品だ。しかも、やり口がやけに傲慢で、隠す気配がまるでない。

普通、あそこまで堂々としていられるのは、背後に相応の後ろ盾があるからだ。

思考が渦を巻く中、直子は自作の追跡プログラムを立ち上げ、相手の撤退経路に貼り付けたデータ・プローブが返してきた断片情報を解析し始めた。

欠片を繋ぎ合わせ、再構成していく。

やがて、ひとつのIPアドレスが復元された。

「……国外IP、か」

直子は目を細め、しばらく画面を睨みつけるように見つめた...

ログインして続きを読む