第140章

彼らを一瞥すると、羽島浩介はもう一度だけ林原遠山に視線をやり――まるでゴミでも捨てるみたいに、乱暴に突き放した。

林原遠山は足元がもつれ、よろめきながら数歩下がった拍子に背後の茶器を倒す。がしゃん、と乾いた音。次の瞬間、砕けたガラスの山へ無様に転がり込んだ。

羽島浩介は白い絹のハンカチを取り出し、ゆっくりと指先を拭う。さっき触れたものが、ひどく汚らわしかったと言わんばかりに。

『林原家の内輪揉めに興味はない』

『だが吉崎直子は、俺・羽島浩介の――まだ籍は入れていないが、妻になる女だ。彼女の母親は、俺の母親も同然。お前ごときが、何様のつもりで手を出した?』

言い終えるや、彼はハンカチ...

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