第143章

彼の言葉を聞き終えた瞬間、吉崎直子の表情はさらに陰りを増した。だが彼女は、無理やり冷静さを貼り付ける。

『……あなたたち、いったい何が目的? 金? それとも林原グループの株?』

吉崎直子が話の飲み込みが早いと見て取ったのか、相手はどこか満足げだった。

『話が早いな。賢い女は助かる』

『言っておくが、林原家の端株なんぞに興味はない。欲しいのは金だ』

『……いくら』

『5,000万』相手は一拍置き、『ドルだ』

その一言で、吉崎直子の瞳孔がわずかに縮む。目の奥に走ったのは、隠しきれない衝撃。

5,000万ドル――。

一般人にとっては、天文学的な数字だ。

林原グループが順調で、帳...

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