第150章

そのときだった。背後を、スーツ姿の女性社員が二人、通り過ぎていく。こちらの存在など気にも留めず、勝手に話し始めた。

『ねえ、今朝トレンド見た? マジでヤバくない?』

『見た見た! 「羽島家の長孫、夜で女と会う」って、あんな煽り見出し、見落とすわけないじゃん』

短髪の女が、その言葉に釣られるように声をさらに張り上げる。

『もうネット中で大騒ぎだよ! 写真の女って、吉崎家のお嬢様――吉崎直子なんでしょ? 本当なの?』

『たぶん、ほぼ確定じゃない?』

先に話していた女社員が、少し考え込むように首を傾げ、同僚を見た。

『でもさ、よく分かんないんだけど。吉崎のお嬢様って、もう羽島様のとこ...

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