第156章

羽島浩介は赤ワインのグラスを手に、床まで届く大きな窓の前に立っていた。傍らには、シャンパンゴールドのマーメイドドレスを纏った女がいる。

ほっそりとした立ち姿。柔らかな物腰。

女は顎を少し上げ、穏やかな眼差しで羽島浩介を見つめながら、口元に笑みを含んで何かを話していた。

男はわずかに首を傾け、真剣に耳を傾けているようだ。唇の端には、薄い笑み。

遠目にも――二人はやけに絵になった。

その光景を認めた瞬間、吉崎直子の心臓がきゅっと縮む。胸の奥に重いものを押しつけられたみたいに息が詰まり、うまく吸えない。

ふと、数日前のことが蘇る。羽島グループで言い合いになり、最後は不機嫌なまま別れた。...

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