第164章

同じ頃――物陰に身を潜めた吉崎直子は、息をすることすら怖くて、喉の奥で呼吸を殺していた。顔つきは、ひどく険しい。

体内に残る薬の効きが、まだ抜けきっていない。

もし見つかったら――どう殺されたのかさえ分からない。

そう思うと、直子は左右へ視線を走らせた。だが見回した途端、眉間がきゅっと寄る。

この倉庫の中はガラクタだらけ。外へ続く通路は、連中が塞いでいる。

出るなら、来た道を戻るしかない。

直子は小さく息を吐き、侵入に使った窓へと足早に向かった。

――その瞬間。

ぐらり、と視界が揺れた。

まずい。

直子は咄嗟に踏ん張ろうとする。だが脱力感が想像以上に強く、身体がよろけ、危...

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