第165章

やがて、数秒の沈黙を挟んで、彼が再び口を開いた。声色は、これまでにないほど硬い。

『ボス、聞いてください。これはあなた一人で片づけられる案件じゃありません』

『相手の身元がデリケートすぎる。まとめて潰すなら警察を噛ませる必要がある。だからいったん現場から離脱して、座標だけ送ってください。あとは俺がやります』

吉崎直子だって、それが最善だと分からないほど愚かじゃない。

けれど――彼らは待てるとしても、この子たちは待てるのか。

直子は小さく首を振り、声を落とした。

『……だめ。ここに置いていけない』

大半の子どもは、怯えながらもどうにか落ち着いている。だが倉庫の隅、ひとつの檻の中に...

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