第170章

「そう?」

吉崎直子は笑みをいっそう深くした。吉崎由紀が必死にあがく様を見下ろし、瞳の奥をどろりと暗く沈める。

「あなたの言うとおり。たった1通のSMSだけじゃ、決定的な証拠にはならない」

「でも、忘れてない?」

直子はゆっくりと言葉を重ねる。

「SIMを有効化する時も、SMSを送る時も、基地局の電波を掴む必要がある」

「だから、私がその気になれば――」

唇の端を吊り上げ、淡々と告げた。

「送信元の番号が掴んだ基地局の位置と、カバー範囲くらいは割り出せる」

そして視線を由紀の顔に落とし、息を吐くように続ける。

「挙式の30分前。その電波の範囲が、ちょうど披露宴会場2階の―...

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